AGA治療薬で起こり得る副作用とその確率について解説

AGA(男性向け)

AGA(男性型脱毛症)治療を検討するにあたって、治療薬による副作用を心配する方は少なくないでしょう。

実際、クリニックが処方してくれるAGA治療薬は安全性が確認されたものですが、副作用が起こる可能性はゼロではありません。

今回はAGA治療薬の副作用をテーマに、どのような症状があるのか、どれくらいの確率で発症するのかなどを解説します。

この記事の監修者

佐藤 玲史
Original Beauty Clinic GINZA院長

慶応義塾大学商学部/東京医科歯科大学医学部医学科卒業。 首都圏のクリニック院長などを経て、Original Beauty Clinic GINZAを開業。 皆様から信頼される「美容のかかりつけ医」になるべく日々診療に励んでいる。

本記事の医師監修に関して、学術部分のみの監修となり、医師が商品を推奨しているわけではございません。

AGA治療薬で起こり得る副作用について

AGA治療薬の服用によって、以下のような副作用が起こる可能性があります。

それぞれについて解説していきましょう。

頭皮のかぶれ・かゆみ

AGA治療薬を塗布した部分がかぶれたり、かゆくなったりするケースがあります。この症状は、AGA治療薬の一つであるミノキシジルの外用薬を頭皮に塗布した場合に起こりやすく、そのまま放置すると頭皮環境が悪化して、抜け毛がさらに増える可能性があります。

かぶれやかゆみ、赤みが出た場合はすぐに使用を中止して、医師に相談しましょう。

性欲減退・勃起不全

AGA治療薬には男性ホルモンに働きかけるものがあり、その副作用として性欲減退や勃起不全につながる可能性があります。

これらの性機能障害はAGA治療薬の中でもプロペシア(フィナステリド)を使用した場合に起こるものであり、ミノキシジルを使用した場合に起こることはありません。
※プロペシアによって性欲が減退する仕組みについては後述します

抑うつ症状

AGA治療薬の日常的な服用で抗うつ症状に陥るケースがあります。現在のところ、AGA治療薬と抗うつ症状の因果関係は完全には解明されていませんが、AGA治療薬の服用によってホルモンバランスが乱れることが原因ではないかと指摘されています。

AGA治療薬を服用するようになってからに、集中力が低下したり、イライラしたりすることが増えた場合は抑うつ症状が疑われますので、ただちに医師に相談するようにしましょう。

肝機能障害

AGA治療薬の服用によって肝機能障害が出る確率は1%以下と非常に低いものの、肝機能障害は人命に関わり、血液検査で調べない限りは早期発見が難しい症状なので要注意です。

肝炎や肝硬変などの肝臓に関わる持病がある方は、必ず事前に医師に相談しましょう。

低血圧・めまい

ミノキシジルはもともと高血圧治療のために開発されたものであり、血管を拡張する作用があります。そのため、ミノキシジルが配合された内服薬を服用すると血圧が低下し、めまいや立ちくらみがすることがあります。

このような症状が起きた場合はすぐに座るか横になりましょう。また、医師に相談して別の治療薬を検討しましょう。

呼吸困難

ミノキシジルが配合された内服薬に見られる症状には、前述の低血圧のほかに動悸や息切れなどの呼吸困難が挙げられます。AGA治療薬の服用で呼吸困難に陥るケースは非常にまれではありますが、その可能性があることを心得ておきましょう。

心臓への悪影響

先述したように、ミノキシジルには血管を拡張する作用があるため、使用量が多いと心臓に負担がかかる可能性があります。また、プロペシアも心臓への影響が指摘されています。

心臓系の持病をお持ちの方は、必ず医師に相談しましょう。

疲労感

ミノキシジルは低血圧やめまいを引き起こす可能性がありますが、それが疲労感につながることがあります。また、プロペシアも男性ホルモンの作用を抑制するため、人によっては疲労感の増大につながることが指摘されています。

疲労感や倦怠感があったとしても見過ごしがちですが、少しでも疑わしい場合はすぐに医師に相談しましょう。

体毛の増加

毛母細胞の活性化と血行促進効果があるミノキシジルは、頭皮以外の部位にも作用します。そのため、体毛が増加する可能性があります。

とくに、ミノキシジルの外用薬を使用した手で頭皮以外の部分を触ると起こりやすいので注意しましょう。

消化器症状

AGA治療薬の服用によって、吐き気や嘔吐、下痢などの消火器症状が起こるケースがあります。消化器症状はAGA治療薬単体ではなく、食事やほかの薬との相互作用によって起こると考えられています。

消化器症状が疑われる場合は、AGAクリニックに相談するのはもちろんですが、まずは消化器内科を受診しましょう

初期脱毛

一般的に、AGA治療薬を使い始めると一時的な抜け毛が見られます。この初期脱毛は個人差があるものの、使用を始めてから2週間程度から見られるようになり、1ヶ月~2ヶ月程度続きます。

初期脱毛は自然に起こることなので、抜け毛が増えたからといって使用をやめないように注意しましょう。

AGA治療薬の副作用を薬の種類別に紹介

AGA治療薬によって起こり得る副作用は、使用する薬の種類によって症状が異なります。

ここでは、前章と内容が重複するところもありますが、AGA治療薬の種類別に起こり得る副作用を解説します。

プロペシア(フィナステリド)

AGA治療薬は大きく「抜け毛を防ぐタイプ」と「発毛を促進するタイプ」に分かれ、プロペシア(フィナステリド)は前者タイプの代表的な治療薬です。なお、プロペシアとフィナステリドが同一に扱われることがありますが、フィナステリドを有効成分とする治療薬がプロペシアとなります。

プロペシアの服用で起こり得る副作用には以下のようなものがあります。

・性欲減退
・精子量減少
・勃起不全
・抑うつ症状
・肝機能障害
・初期脱毛
・心臓への影響
・疲労感
・消化器症状
など

プロペシアは、Ⅱ型5αリダクターゼという酵素の働きを阻害することで、男性ホルモンの一種であるテストステロンがDHT(ジヒドロテストステロン)に変換されるのを防ぐ効果があります。その結果、AGAの原因となるDHTの量が減少し、抜け毛の防止を期待できます。

ただ、プロペシアは男性ホルモンに働きかけるため、性欲減退や精子量減少、勃起不全など懸念されます。性欲減退や勃起不全は夫婦関係および妊活にも影響するため、使用する場合は事前に家族に相談するようにしましょう。

なお、プロペシアはその特許権が切れた2015年以降にジェネリック医薬品(フィナステリド錠)が販売されており、起こり得る副作用はプロペシアと同じです。

ミノキシジルタブレット・ロゲイン(ミノキシジル)

ミノキシジルが配合されたAGA治療薬は、抜け毛を予防するプロペシアとは異なり、「発毛を促進するタイプ」であり、内服薬(ミノキシジルタブレット)と外用薬(ロゲイン)があります。

先述したように、ミノキシジルは高血圧治療のための「降圧剤」として開発されたという経緯があり、血行促進や毛母細胞を活性化させる効果が認められています。

ミノキシジルタブレット、ロゲインの服用および使用で起こり得る副作用には以下のようなものがあります。

・頭皮のかぶれ・かゆみ
・低血圧・めまい
・呼吸困難
・心臓への影響
・体毛の増加
・疲労感
・肝機能障害
・消化器症状
・初期脱毛
・発疹
・皮膚炎
など

ミノキシジルによる副作用は内服薬と外用薬で若干異なり、ミノキシジルタブレット(内服薬)では低血圧や呼吸困難、消火器症状、ロゲイン(外用薬)では塗布部分のかぶれやかゆみ、発疹といった症状が懸念されます。

なお、ミノキシジルは含有量5%までのものであれば、医師の処方がなくともドラッグストアで購入できます。しかし、使用することによって健康被害が起こるリスクもあるため、医師の指導のもとに使用するのがベストといえるでしょう。

ザガーロ(デュタステリド)

サガーロはデュタステリドを有効成分とする、プロペシア、ミノキシジルと並んで有名なAGA治療薬の一つです。

ザガーロはプロペシアと同様に「抜け毛を防ぐタイプ」の治療薬であり、5αリダクターゼの働きを抑制する効果があります。

ザガーロの服用で起こり得る副作用には以下のようなものがあります。

・性欲減退
・精子量減少
・勃起不全
・抑うつ症状
・肝機能障害
・初期脱毛
・疲労感
・消化器症状
・食欲不振
・乳房障害
など

ザガーロはその効果だけでなく、起こり得る副作用もプロペシアと似ており、性欲減退や勃起不全といった性機能障害のリスクがあります。また、プロペシアと異なる点として、乳房障害(乳房が大きくなる、乳頭痛、乳房不快感)がみられることが挙げられます。

ちなみに、サガーロはプロペシアよりも抜け毛の予防効果が高いという検証結果があり、価格も高めです。ただ、比較的新しい治療薬であるために「安全性」という観点においては、長らく使用されている実績を持つプロペシアの方が高いといえます。

アボルブ

アボルブはサガーロと同様に、デュタステリドを主成分とするAGA治療薬ですが、元々は前立腺肥大治療薬として開発されたという経緯があります。

アボルブの服用で起こり得る副作用には以下のようなものがあります。

・性欲減退
・精子量減少
・勃起不全
・肝機能障害
・初期脱毛
・食欲不振
・乳房障害
など

サガーロと同様に、性機能障害や肝機能障害、乳房障害がみられるのが特徴です。

アロビックス

アロビックスは、カルプロニウム塩化物を5%含有した外用薬タイプのAGA治療薬であり、血行を促進する効果があります。

アロビックスの使用により起こり得る副作用には以下のようなものがあります。

・赤み
・かゆみ
・皮膚炎
・発汗
・発熱
・吐き気
・悪寒
など

アロビックスの副作用は皮膚にあらわれるものだけでなく、発汗や発熱、吐き気といった症状がみられるのが特徴です。

AGA治療薬で副作用が起きる確率

ここまでAGA治療薬の副作用による症状を紹介してきましたが、気になるのはその発生確率でしょう。

厚生労働省の調査によると、ミノキシジル使用者(外用内服含め)では約11人に1人(約9%)の割合で副作用が確認されています。その一方で、プロペシアによる副作用の発生率は約1%前後といわています。

また、サガーロは国際共同試験において、服用による副作用が発生したのは全体の17%という結果があります。

このように、副作用が発生する確率はAGA治療薬の種類によって大きく異なります。自身が使用する治療薬については、その副作用の可能性を含めて医師ときちんと相談するようにしましょう。

AGA治療薬の副作用についてのQ&A

AGA治療薬を使用するにあたって、女性ならでは副作用はある?

A. ミノキシジルは母乳中に成分が移行することが知られています。

そのため、妊娠および授乳中はミノキシジルを使用しないようにしましょう。なお、プロペシア、サガーロ、アボルブは原則女性の使用は認められていません。

AGA治療薬による肝機能障害はどれくらい起きるの?

A. 発生確率は1%以下とかなり低いです。

AGA治療薬による肝機能障害の発生確率は低いものの、人命に関わるため、肝炎や肝硬変などの肝臓に関わる持病がある方は必ず事前に医師に相談しましょう。プロペシア、サガーロ、アボルブを服用する場合は事前に血液検査を行うことをおすすめします。

AGA治療薬の副作用で抜け毛が増えるって本当?

A. 初期脱毛なのでご安心ください。

初期脱毛で抜ける毛はヘアサイクルの乱れによって生まれた「弱毛」であり、初期脱毛はヘアサイクルを整えるための準備ともいえます。くれぐれも初期脱毛によって、AGA治療薬使用を中断することがないようにしましょう。

AGA治療ならオンライン診療がおすすめ

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